「稲」に早稲と晩稲(おくて)があるように、人にも早稲と晩稲がある。
稲なら早稲でも晩稲でも風上に合わせて使い分けることが出来るが、人となると、そうも行かない。
学歴社会全盛の現代で人は、早稲と決まっている。
子供の頃は、天才神童と云われても、大人になれば、ただの人。という言葉があっても学歴は全盛だ。
将棋連盟は、先週41歳の会社員であった、今泉健司さんをプロと認めた。プロテストに合格したのだ。
今泉さんは、14才から将棋連盟の奨励会に入ってプロを目指したが、不合格。
最後は26才の年齢制限にはばまれて泣く泣く奨励会も去らねばならなかった。
けれど年令に関係なく門戸を開くべき、という声が出て、将棋連盟は理事会で、プロ五人と対局して3番勝てば、年令に関係なく合格と認める制度を13年前、導入した。
今泉は、41才になって、やっとプロとして将棋を指せるようになった。喜びは、筆舌につくせないだろう。
30年前、小池重明というアマ強豪がいた。
プロの八段クラスと闘っても勝率がよかった。
嘆願書を書いたり、升田幸三・(元名人)の推薦文をもらったりしたが、結局はシキタリと年令でプロへの道は閉ざされた。
彼は43才で病死するが、最後は、点滴のパイプを自ら引きちぎって亡くなった。自殺だったろう。
将棋連盟は、この悲しい出来事を知って門戸を開いた。素晴らしいことだ。
同じような意味で、囲碁の日本棋院も将棋連盟を見習って、門戸を開放した方がいいのではないか。
今泉さんが、もし名人リーグ(8段)に入ったら、全国のアマ将棋ファンは何んなに喜ぶだろう。
この制度改革は、如何なる将棋普及活動より、はるかに優る。
スポンサーサイト